2010年02月12日
Elliot Minor / Elliot Minor -2008-
イギリス出身のメロディック・エモ・バンド、2008年デビュー作。
僕は全くと言っていいほどエモというジャンルに明るくないのであまり知ったような口は利けないのですが、
このバンドは単純に一聴して僕の趣味に合う「こっち側」のバンドだなぁと感じました。
メンバー全員がクラシックの教養があるということから音楽性にもそれが多分に反映されており、
ドラマティックな曲展開、キーボーディストによる繊細なピアノ・ストリングスアレンジ、
哀愁ただようキャッチーなメロディ、ツインボーカルという持ち味を生かしたハーモニーなどなど、
エモ云々というよりむしろメロディック・ハード、ハード・ポップ、そして誤解を恐れずに言えば
メロディック・スピード・メタル、シンフォニック・メタルのリスナーにすらアピールするのではないでしょうか。
("Parallel Worlds"なんてまるでSonata Arcticaみたい。)
アルバム前半にシングルカットされたキラーチューンが多いため相対的に見ると若干後半ダレますが
それでも楽曲の質は粒ぞろいで今後が楽しみなバンド。日系のメンバーもいるようですし応援したいですね。
名盤:★★★★☆ 有名:★★★☆☆ 聴易:★★★★★
2010年02月01日
Amorphis / Silent Waters -2007-
|
|
僕の大好きなフィンランドメタルの雄、Amorphisの大傑作8thアルバム。
ブルータルデスメタル→メロディックデスメタル→サイケデリックメタルと、デビューから様々に方向性を変えつつ
常に高いクオリティの作品を発表し続けてきた彼らですが、前作「Eclipce」からエモーショナルなクリーンヴォイスと
野獣の咆吼の如きアグレッシヴなデスヴォイスを完璧に使い分ける名シンガー トミ・ヨーツセンが加入したことにより
バンドとしてさらに高みに到達した感があります。Amorphisは過去のものと考えるリスナーも多かったようですが、
そんな彼らの耳をもう一度引き戻し、そして新たなファンを数多く獲得することにも成功したようです。
過去のデスメタル時代のアグレッション、そして彼らがルーツに持つサイケデリック・トラッド要素を
高い次元で融合させた「Eclipce」も傑作でしたが、この「Silent Waters」も同路線を押し進め、
等しく高いクオリティを維持することに成功した素晴らしいアルバムになりました。
"Silent Waters"、"The White Swan"、"Black River"と言ったSentencedにも匹敵する慟哭の名曲では
悲哀・憂いの感情を高い表現力で歌い上げ、対して初期のようなヘヴィネスさを持った"Weaving the Incantation"、
"Towards and Against"では地鳴りのようなグロウルで聴き手を熱くさせるトミ・ヨーツセンの力量には脱帽。
楽曲的に見ても捨て曲など一切なく、過去の作品群から得た経験を活かして更に成長を続ける今の彼らを
絶頂期であると断言しても過言ではないと思います。個人的には一生聴き続けるであろうアルバム。
望む、単独来日公演!
名盤:★★★★★ 有名:★★★☆☆ 聴易:★★★☆☆
2010年01月17日
A.C.T / Imaginary Friends -2001-
|
|
スウェーデン出身のプログレポップ・メタルバンドによる2ndアルバム。
往年のKansas、New England、It Bitesを思わせる叙情的なプログレハードをベースにDream Theaterばりの
ヘヴィでテクニカルな演奏・変拍子バリバリの複雑な曲展開を繰り広げながらも、それをQueen、ELO、Jellyfish、
Valensia、Valentineからの影響をモロに受けたポップでカラフルなメロディで違和感なく聴かせる凄腕のバンドです。
↑で挙げたバンドの殆どがフェイバリットである僕からすればこのA.C.Tは本当にツボどストライクなバンドでして、
同じ趣味をもつ方々にもぜひ聴いてもらって一緒に感動を分かち合いたいな、と思う今日この頃です。
この2ndアルバムを取り上げたのは単に僕が一番好きなアルバムだからであって、これまで4thまで出ている
彼らのアルバムは全て全力でお薦めなのですが、もしかすると入門としては1stの「Today's Report」、
3rdの「Last Epic」の方がとっつきやすいかもしれません。(4th「Silence」もスルメ盤で非常に素晴らしいのですが!)
極上のメロディ、ドラマティックなアレンジ、さりげない超絶技巧、どれをとっても100点満点。
名盤:★★★★★ 有名:★★★☆☆ 聴易:★★★★★
2010年01月14日
Status Quo / Just Supposin' -1980-
|
|
Status Quoというバンドは70年代のハードブギー時代が黄金期と言われていて、その後はパッとしないながらも
頑にハードブギーを演り続けているベテランバンド…という認識がロックファンの間では一般的ですけども、
いやいや何をおっしゃいますやら。ゴリゴリのハードブギーであった時代は意外にも短く、
70年代後期頃からブギを基調とはしつつともハードポップとも言える音楽性にシフトチェンジ。
今日にいたるまでそのポップでキャッチー、ノリの良いブギーサウンドで未だ活動中です。
(現時点での最新作は2007年の「In Search of the Fourth Chord」)
両手両足の指を使っても数え足らないくらい作品が出ていますが、その中でも僕が特に大好きなのがこのアルバム。
前述したハード・ポップ・ブギーに方向性を変えてからの作品では1,2を争う完成度だと思います。
とにかく全曲キャッチーで非常に聴きやすく、"What You're Proposing"や"Lies"など、
思わずメロディを口ずさみながら小躍りしてしまう名曲が揃っています。
そして特筆すべきがラストトラック"Rock 'N' Roll"。曲名から受ける印象とは真逆の、本当に暖かく、
彼らStatus Quoというバンドがロックをいかに愛しているのか伝わってくる感動のバラードで、
僕がこのバンドに最大級の愛着・親しみを感じる理由が全て詰まっている名曲です。
70年代の彼らしか知らないロックを愛する皆さんにぜひ聴いてもらいたいアルバム。
名盤:★★★★★ 有名:★★★☆☆ 聴易:★★★★★
2006年04月26日
Astral Doors / Astralism -2006-
|
|
2003年デビュー、気鋭のスウェーデン産ハードロックバンドAstral Doorsの新作です。
音楽性はずばりRainbow、Dio路線を踏襲した
正統派様式美ハードロックなんですが、しかし北欧のバンドにありがちなネオクラ系ではなく
ひたすらレトロで暑苦しい骨太のハードロックを演奏しております。とても2006年の新譜とは
思えない古臭いハモンドの音色を聴けばマニアは一撃ノックアウトでしょうが驚くのはまだ早い。
このバンドの中心的人物はVoのニルス・パトリック・ヨハンソンという人物なのですが
この人がもう一級品なんてもんじゃないほど素晴らしく、ロニー・ジェイムス・ディオと
トニー・マーティンを足して2で割り、更に人見元基風味を振りかけたような熱過ぎるVoは
最近の若手では飛びぬけている…どころか、これはもう本気でロニーの後継者になり得ますよ。
1st・2ndは、質は高いながらあと一歩という印象のアルバムでしたがこの3rdで完全開花。
サビがあまりにも衝撃的過ぎる1曲目"EVP"に「ヒロシマの黒い雨」を歌った"Black Rain"、
先行ミニアルバムで披露された"Raiders Of The Ark"、怒涛の畳み掛けを見せる"Vendetta"、
曲名見て一瞬Stryperかと思った"In Rock We Trust"など枚挙に暇が無いほど名曲多し。
名盤:★★★★★ 有名:★★★☆☆ 聴易:★★★☆☆